3/08/2016

青い瞳 / ses prunelles bleues

パリに居たころ。

キラキラと太陽が眩しい夏空の下、すれ違った女性のTシャツ姿があまりに素敵、予定を変更し買い物へ繰り出したことがあります


私が見惚れたその女性は、決してスタイル抜群というわけではありませんでした。

しかし、身体によく似合ったTシャツは、シンプルながらその女性の魅力を引き立てていました。


さて、意気込んでTシャツを買いに行ったもの、何を選ぶか迷う私に一人のスタッフが声をかけてくれました。

「失礼ですがお客様が手にしている色は、あなたの瞳の魅力を半減してしまいます」と。


「え?」

不意を突かれて戸惑うアジア人と、真剣な表情の欧米人。
沈黙の後、彼女はニッコリ笑い、もう一度私に言いました。

「あなたの綺麗な黒い瞳には、もっと似合う色があります」。


そんなことを言われたのは、生まれて初めてでした。
服を選ぶのに、瞳の色など気にもとめませんでした。


でも、そう言えば。

以前にフランス人の友人が、「服選びの際は瞳の色を気にする」言っていたことを思い出し、素直にアドバイスに耳を傾けることにしました。



モノトーンの瞳を持つ私は、欧米人に比べ黒が映えること。

上半身に発色の綺麗な色を置くと、黒目が際立つこと。

視線を上に、瞳を強調すると、小柄な体型をカバーするのに効果的であること。

彼女は、このような話をしてくれました。



瞳の色と似合う色の関係性。
彼女の話は当時の私に新鮮で、今でもその言葉が残っています。


暑い夏がやってくると、時々思い出すあの日の出来事。

ファッションが大好きという彼女の耳には、青い瞳に合わせたコバルトブルーのピアスが美しく輝いていたのを、今でも鮮明に覚えています。

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