3/24/2016

黒革のコート / un manteau noir en cuire

先日、家路を急ぐ途中で私の前を歩くご婦人が目に留まりました。
ゆっくりした足取りの後ろ姿から、プンプンと漂うお洒落な雰囲気。
黒いレザーのロングコート、ベリーショートにした白髪、細身のパンツスタイル、全てがパーフェクトに整っていました。

普段の生活の中で、パッと目を引く服装のに出会う機会はなかなか稀です
私はファッションに興味があるので、道行く人々の装いを見ていることが多いのですが「この人素敵だな」と思う人には共通点があるように思います。
服装のジャンルは違っても、皆一様に心地よさそうな着こなしをしているのです。

先の女性も、恐らく自分に似合うものを熟知している方なのでしょう。個々のアイテムは個性的で、それなりに流行も取り入れたコーディネートではありましたが、無理なく自分に合ったお洒落を楽しんでいる様子が伝わってきました

自分の姿を知ることは、意外に難しいことです。
できれば目を背けたい欠点を受け入れ、似合わないものを潔くあきらめるには、かなりの勇気が必要です。
けれど、自分にぴったり合う色やデザイン、バランスを見つけることができたなら、誰にも真似できない“私”を表現することができるでしょう。

手始めに、ファッション誌や街、素敵だと思う人を探してみてください。
そして、その人のどこに魅力を感じるのか、じっくりと考えてみてください。
自分に当てはまりそうな場合は、そっくりそのままコーディネートを参考にしてみてください。
これ、ファッションのプロに教えてもらった必殺技です。

私も失礼を承知で、例の黒革のコートのご婦人を観察させていただきました。
いつか白髪や皺が似合う年齢になったとき、あの女性のようにキラリと光る魅力を携えていたいと感じながら。

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