4/13/2016

白シャツとネクタイ / un chemisier blanc avec une cravate

中学生の頃、白シャツにネクタイという組み合わせが流行ったことがありました。
当時、ティーンのお店には色々なバリエーションの『白シャツ×ネクタイ』が並んでいました。

ある時、地元のお祭りへ友人と出かける機会がありました。
ファッションに目覚め始めた中学生にとって、制服を脱いで出かける場は勝負の場。日頃は見ることのない私服姿を公開する、いわばお披露目会のようなもの。
例えばそこで意外性をアピールできれば、「あの子、実はかわいいかも」と憧れの君の目に留まる可能性だってあるのです。

さて、お祭りの当日、私は手持ちの中でベストだと思うコーディネートで出かけました。
ところが、会場に着いてびっくり。出会う友人の多くが『白シャツ×ネクタイ』に身を包み、意気揚々と歩いていたのです。
かわいいあの子も、イケてる先輩も、皆が皆『白シャツ×ネクタイ』姿。それ以外の格好をしている人は「だっさーい」と言わんばかり。
もちろん、“それ以外”に属していた私は肩身が狭く、一刻も早く家に帰りたい気持ちでした。

帰宅後、私もシャツとネクタイが欲しいと泣きわめき、母に八つ当たりしました。
今となっては笑い話ですが、この時、私は母から「自分で選択する」ことの大切さを教えられました。

泣き拗ねる私に、「どうしてそれが着たいのか明確な理由を述べよ」と母は言いました。あの子が着ているから、流行っているからではダメだと。
そう問われると冷静になり、説得するほど欲しいわけではないことに気づきました。

流行を取り入れることは悪いことではありません。
ただ、そこに自分の意思がなければ、世の戦略に翻弄されているに過ぎません。
母いわく「なだめるのに苦労した」そうですが、あの経験があったからこそ、私は自分で考えるオシャレを楽しめるようになったと、密かに感謝しています。

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